いなみ

言うよ、だって

経年劣化

「良い子じゃな…」


「ええ…本当に…園内を無邪気に走り回る姿が微笑ましくって…」


「ワシは、この光景だけで目頭が熱くなってくるわい…」


「おじさんったら…」


「はは…」


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時期尚早…か。いや、それはない。


太陽が一番高い時、大体それ位、結構暑い日、初夏、時期的に薄着の人が多い。疎らな人の通い。閑静な住宅地。連なってはいるがただ連なっているに留まり、それ以上の関係性を見るに足らず。


悠久の時を経て久しい。何度か見てはいるものの、相変わらず変わり映えのない様子。温い黄昏から半強制的に身を投げ出してその身に身を預けつつ、預けさせつつ。強迫観念…などといった眠たい話はどうでもいい。今はただ眼前の丘と峡谷に己を突き動かす全をただひたすら…投げやりに打ち込めばいい。黒く靡く波、火照りと些か生温い空気。その場を調和しているような要素ではあるが、それを調和とは決して言えはしないだろう。だが、一方にとっては悦楽であることは確かである。


不可逆がそうさせた。


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