いざBBQ
僕は、そういえばバーベキューをしたことがないです。バーベキューはかなり楽しそうな雰囲気があります。皆で食物をつつき合い、会話を楽しむ。最高だと思います。
しかし今のご時世、バーベキューは憚られ、出来ないという状況に涙を溜めてる人もいることかと思います。
そんな人達の為に今回は“僕が脳内でバーベキューをしている映像を文字に書き起こしたもの“を見てもらいバーベキューをした気分になってもらいます。
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「バーベキュー行くぞ〜浜松城の近くでやるぞ」
と息巻いて車を静岡まで走らせます。
「皆、各々食材を持ってくるということだったけど準備は出来てるか〜い!?」
「イエーイ!」
メンバーのやる気は絶好調です。
–浜松城到着–
「それでは今からここでBBQを始めるぞ!(2092年に静岡はバーベキューの聖地になったのでどこでもバーベキューが出来る様になったのだ、これは県の条例にも書いてある)」
各自、テキパキと準備を進めます。コンロを組み立てたり、炭を敷き詰めたりします。
「よし、粗方準備は整ったな」
「そしたら次はお待ちかねの”食材発表タイム“っしょ!」
「相変わらず気がはえ〜な(笑)ともやんはよ!」
「気の早さでここまで延命出来たんだから、許せよ…それ位さ」
「…」
ドン引きです。
「それじゃ改めて…しょ、食材発表〜!」
「ヨッシャ〜!」
「じゃあ、まずともやんからな!あんなに発表したがってたんだからな!それなりの食材持ってきたんだろ?」
「まかせろ!(笑)」
ともやん、選択選手…
”防災頭巾“
「は?」
「俺さ、防災訓練の時によ〜、好きな子の防災頭巾を舐める機会があったのよ」
「そんな機会は普通ねえよ」
「それでさ、いざ舐めるじゃん?したら甘酸っぱい青春の味がしたのよ(笑)」
「お前もう死ねよ」
「でさ、その時の味はいわゆる”生“の状態で食ったからさ、焼いたらどうなんだろうな〜っていうのとさ、この不思議な味を皆に共有したかったんだよな」
「ふざけんな」
ともやんは、怖いもの知らずで有名です。
「勿論この防災頭巾、あの日から想い続けているあの子の頭巾だぞ、そう心配そうな顔をするな(笑)」
「心配なのはそっちじゃねえよ」
1巡目でもう既に極(きわみ)です。
「じゃ、じゃあ次はジャベリン、頼むわ…」
「任せなさい〜♡ともやんの持ってきたものよりも断然いいものを用意したわ〜♡」
「聞き捨てならねえぞ、クソ女!俺と俺の想い人の頭巾に謝罪しろや〇〇〇〇!(差別的表現により割愛)」
ともやんのマジ切れを押さえ込み、ジャベリンの選択希望選手の発表です。
ジャベリン、選択選手…
”夢(ゆめ)“
「え?」
「何?凄い怖いんだけど」
「これね、夢」
「いや…え?何?夢?いや、夢って言われてもそもそも夢ってそんな目に見える物体ではないでしょ…」
「夢はいつもは曖昧模糊としたものだけどある一瞬の時だけハッキリと具現化するのよ」
「え…?いつ?」
「それはね、”人が追い続けていた夢を100%、もう無理だと諦めた時“にハッキリとした物体として顕在化するのよ」
「怖…」
「仮にその話を信じたとして何でお前が”夢“を持ってたんだよ」
「私には弟がいるわ」
「あ…はい…いますね…」
「弟の夢を言葉巧みに諦めさせてその瞬間に具現化した夢を手で掴んで虫籠に入れたのよ」
「ヤバ…」
「何で夢を手掴みすることが出来るのかは分からないしそもそもバーベキューに持ってきていいものじゃないだろ」
「焼いたら美味しいらしいわ」
「知らねえよ、マジで」
「というか弟はどうなったんだよ」
「その日から動かないわ」
「…」
ジャベリンは少年院に728回入ってます。
「じゃあ…ラスト…俺だな」
「激アツなのを頼むぞ!(笑)激アツ!」
ともやんは、人として終わっています。
「粋のいいヤツ…ちょうだいね〜♡」
ジャベリンも終わっています。
「俺が選んだのはこれだ」
◼️、選択選手…
”肉“
「バーベキューつったらこれ以外ないんだよ」
「肉…?」
「肉って何よ」
二人は肉を知りません。
「は?肉って言ったら肉だろう。牛肉、鶏肉、ヒレ肉…とかさ。は?お前らはマジで何ですか?原始人以下か?」
「俺が知ってるのは”産婦人科を学校だと思って6年間通ってたらそこは学校じゃなかったのでいきなり人生が詰んだ室井君の話”だぞ」
「マジで知らない」
「私は“虐め=上履きの中に画鋲を針の方を上にして貼られるものだと思っていた小粋なジョークが売りの松永クンがトイレの個室で大便をしている時、クラスのいじめっ子に上からDVDのディスクを浴びせられた時に「お前ら…優しいやつ…」つってそれをボリボリ食い始めた話“だわ」
「バグってる?」
「彼は人中で物を考える面白い人よ」
「バグってんじゃねえか」
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「お前ら一体何なんだよ!あ?ドッキリにしては少しやり過ぎなんじゃないのか?」
「ドッキリではないぞ、これは本当に何の変哲もないただのBBQだぞ」
「そうよ」
「そんな訳ないじゃん?俺たちが今食べようとしているのは防災頭巾、夢、肉の3つだぞ?こんなBBQ、世界中何処探したってある訳ねえじゃねえかよ」
「まあ、落ち着けよ。お前は一回落ち着いた方がいい。状況を整理するんだよ」
「これが落ち着いてられる訳ねえだろうがよ!死んだ祖母も天国でもう一回絶命しかけてるわ!」
「私達、結構長い付き合いよ?これ位のことは予想の範囲内でしょ?」
「出来るか!確かにお前らは少し頭がおかしいとは思っていたがここまでもう終わり散らかしてるとは思わなかったわ!」
「へへ、何だか照れ臭いじゃんかよ…」
「へへ…じゃないんだよボケタコが!」
「貴方のそういうところ…嫌いじゃないわよ」
「ノリがおかしい!」
「俺はよ、久々に集まるお前らと和気藹々とバーベキューをしたかっただけなんだ…」
「お前…」
「貴方…」
「しかしどうやらお前らはそうじゃないらしい。俺はもう”諦める“ことにするよ」
その刹那、◼️の背中から眩い光が現れる…
「これって…え!?」
「”夢“!夢よ!夢がまんまと姿を晒してきやがったのよ〜!!!オイオイオイオイ!!バカが!!!」
ジャベリンが必死の形相で夢を掴みにかかります。
「ヨッシャア!夢取ったど〜!!私だけの夢よ!ガハハ!」
「お前ズルくないか?その夢、半分よこせよ」
「しょうがないわね、出世払いでよろしくね」
夢を分かち合います。
「じゃあ、バーベキューやるか」
「そうね〜」
夏草や 兵どもが 夢の跡