いなみ

言うよ、だって

雑記

下水道に3年と8ヶ月弱暮らしているのだが最近どうやら”新入り“が来たらしい。そう気付いたのは下水道に見知らぬ物体が落ちていたからだ。



ここの下水道には俺以外居ない。当然物も落ちていない訳だがふと下水道を歩いていた時に『それ』は持ち主の元を去り孤立していた。これというのは横領、窃盗?に分類されるのだろうけども生憎、俗世から隔離された俺にとってはそんなことはどうでも良かった。目前に存在しているコイツを保護し観察することが何よりも優先すべき事項であるのは明白だったしベンサムもうんうんと頷いている。


俺はまずソイツにひとつ頬擦りをしてみた。俺は自論を持っている。『その人、物の肌触りや温度、においやサイズを知ればそれについては9割知ったことになる』という自論。物心ついてからはこれ一筋で様々な関係を築いてきたものだ。あの甘々とした青春時代が懐かしいが今はそんな耽溺な思い出を振り返っている場合ではない。ハッキリとした感触を確認しそいつを知らなくちゃいけないんだよ。


感触は柔らかいとも硬いとも言い難い妙な印象を与えてくる。においはよく分からない。無臭とでも言っておく。温度は少し冷たいか?サイズは両手から少々はみ出す位の若干の主張を交えたおませなサイズだ。


もうお前のことは把握した。さーて“餌”でも与えてみるかな。


お気に召したのかガツガツと食い意地を張るかのような動きを披露するね。まあそれも当然といえば当然なのだが…


しかしまあ悪趣味と言えば悪趣味な様相を呈しているな、こいつは。それもまた個性と呼べばポジティブに捉えられるけども。


しかし”次“はもう少しサッパリとした至って純なモノで頼みたい所だが、それは今もこれからも恐らく一生叶わない願いなんだろうな…その点だけが惜しいな。全くもって…